■もしも「接触恐怖症×対人恐怖症」だったら 2007/03/23
いつものごとく、中丸を連れて赤西は帰宅した。
マンションの階段を上り、自分の部屋へと向かう。
すると、誰かが自分の部屋の前に立っているのに気付いた。
それは、中年の男で、インターフォンに向かって何事かを話している。
見覚えの無い男に少々警戒しながら近付くと、相手は一向に赤西に気付かない。
ラフなTシャツにズボンという、ちょっとそこまで散歩しよう。みたいな格好の男が、セールスマンな訳は無く。
中丸も少々疑心を抱いているようで、カバンを握る手に力が入っている。
どんどん近付く赤西は、それでも一定の距離を保って男に話しかけようとしたら、中からの、亀梨の声がインターフォンを通じて聞こえてきた。
『ぁっ...か、に...っ、ぃ...!!』
絞り出すようにして、出された苦しそうな喘ぎを含んだ、亀梨の助けを呼ぶ声。
その声が、耳に届いた瞬間、赤西は目の前が真っ赤に染まるのを感じた。
何も考えられなくなった赤西は、本能のまま、目の前にいる男は亀梨にとって害となる人物だと認識し、無意識のうちに胸倉を掴み上げ拳を振り下ろしていた。
鈍い音を立てて拳は男の頬に食い込む。
「っ!?
ぅ...、ぁああぁあぁぁ!!!」
「赤西!!!」
赤西の渾身の一発で伸びた男を放り出し、赤西は頭を抱えて呻く。
彼は、『接触恐怖症』。
その由縁は、幼い頃から相手に触れるだけで、相手の感情を読み取ってしまう不思議な力を持っていたから。
今、赤西の脳内に、男の感情と記憶が入り込んでいた。
それは、亀梨の“過去のトラウマ”に成り得るに充分な程の出来事。
この男が成した、非道な行為。
全てが、赤西の脳みそに叩きつけられた。
心配する中丸は、声を掛ける以外、何も出来ない。
今赤西に触れれば、中丸の感情も流れ込み、余計に混乱を招くからだ。
歯痒く思い、拳をきつく握り締めていると、赤西の呻き声が和らいでいった。
苦々しく、痛々しい表情をしている赤西。
彼の表情がココまで現れるほど、見たものは吐き気がするほど胸糞悪いものなのだろう。
それでも赤西は、何とか体制を立て直して、家の玄関を開けた。
今もまだ、恐怖心に囚われている亀梨が心配なのだ。
あの映像を見たからこそ、余計に胸がざわついた。
「か、めな、しっ...!!」
多少ふらつきながら、赤西はドアを開けた。
その先に、以前中丸が初めて亀梨と対面したときと同じ場所で、亀梨は倒れている。
あの時よりも、呼吸は荒く、肩が上下していて、ボロボロと涙を零しながら喘いでいた。
呼吸は過呼吸になりかけているのか、口が酸素を求めてパクパクしている。
苦しそうに歪められた亀梨の顔を見た瞬間、赤西は靴も脱がずに駆け出した。
前は踏み込めなかった、禁止領域をも踏み越えて、蹲っている亀梨の肩を掴んで抱き起こす。
赤西が触れると同時に、亀梨の感情と記憶が赤西に流れ込んできた。
重く、苦しいその記憶は、先ほど男に触れたときに見たものと同じものだった。
「ぁぅっ...ぐっ、ぁあぁっ!!!」
「っ!!
や、...ヤダ...っはな、して...、離してぇ!!!」
「赤西!!!カメ!!!」
ぐっ、と力を込めた赤西に反応して、亀梨は拒絶の言葉を口にする。
掴んでいる相手が誰かも解らぬほど、今の亀梨は混乱していた。
頭を振り、手を突っぱねて、身体全身で拒絶する。
混乱している亀梨にとって、相手が誰であろうと恐怖を煽るだけのものだった。
「っ...、はぁっ...!!
かめ、な...しっ、...亀梨!!!」
「ぁ...ャっ...やめ、て...!!!
触ら、ないでっ...、もう、許、してぇ...!!!」
「目を開けて、俺を見ろ!!
記憶の中の男じゃなくて、今目の前にいる俺を見ろ!!!」
「っ!!
はっ...、ぁ、か...っし...?」
赤西の中で渦巻く亀梨の感情と記憶を力でねじ伏せ、亀梨の頬を両手で挟んで視線を合わせようとする。
頑なに瞑られた瞳は、開かれず、涙だけ流れていた。
悲痛な叫びを上げ続ける亀梨に、赤西の言葉が届いたのか、瞳が開かれる。
次第に焦点の定まってきた視線は赤西に合わせられた。
赤西の表情は、亀梨に負けず劣らずの痛々しいカオをしている。
「大丈夫、だから...っ!
俺が、お前を守るから...!!!」
「ぁかにっ...し、っ!!
赤西...っ、赤西!!!」
ボロボロと泣き崩れる亀梨を、赤西は胸に抱いた。
亀梨は、おずおずと赤西の背中に腕を回し、きつく握り締め、堰を切ったかのように名前を呼び続ける。
すると、亀梨は奇妙な感覚に囚われた。
優しくて、暖かくて、何か大きなものに心が包まれている感覚。
大丈夫だから。絶対、俺がお前を守るから。
赤西の感情が、亀梨に流れ込んでいた。
今まで、一方的に相手の心を読むことしか出来なかった赤西。
この行為は、無我夢中なもので、本人が意図したものではなかったが、赤西の暖かさに触れて、亀梨は次第に落ち着きを取り戻してきた。
この一件をきっかけに、赤西は自分の能力をコントロールすることが出来るようになった。
触れても、相手の意識を読まずに済むようになり、時々は悪戯で中丸に心中で思ったことを伝えるなど、余裕も出てきたのだ。
亀梨は、大人に対する対人恐怖症はまだまだリハビリが必要ではあったが、赤西と中丸には触れても平気になるまでに至った。
そして、赤西と亀梨の関係は進展を迎え、大人の階段を着実に上り進めている。
「仁ー!!」
「お前、アレだけ恐がってたのに、引っ付くの好きだな。」
「だって、仁に触ってると『カメが好きー!!』って気持ち伝わって来るんだもん。」
「へ?
俺、力のコントロール出来てない?」
「ううん。そういうのじゃなくてね。
何ていったら良いかな?
あー...心が繋がってれば、力なんて関係無しに気持ちは伝わるんだよ!!!きっと。」
ヤマアラシのジレンマは、互いを思いやる心を持つことで、初めて、解消されるものなのだろう。
□-◇あとがき◇-□
すいません。
コレ、長ったらしくて、実のところ飽きちゃ...げふんげふん。
えー...はい。
気力が尽きました。
なので、赤西サンと亀梨サンのトラウマや、赤西サンが学校に通っている真相など、全然解明されてなかったり...ι
好き勝手に妄想してください。じゃ、ダメですか?
え?ダメ...?
普通はそうだよね...(-.-;) ←当たり前。
んと...?
初期設定では。(←待て、コラ。)
赤西サンは力を気味悪がって両親に捨てられ、祖母に引き取られるも、周りの環境が劣悪過ぎて自己保身の為に接触恐怖症に。
(↑幼心には大人の汚い心は毒だったのです。あ、お婆ちゃんは良い人という事で。)
亀梨サンは親からの性的虐待を受けて対人恐怖症に。
んで、赤西サンが学校に通っている理由は、お婆ちゃんがきちんと学校を出ることを望んだため、てな感じで。
因みにお婆ちゃんは赤西サンが中2の時に他界してる設定です。
そこからはお婆ちゃんの遺産を赤西サンが相続して、今に至る。という事で勘弁してください(泣)