雪ノ花ビラ
はぁ、と息を吐いて、白い息が出たなと認知した時にはもう、冬は真っ只中で、12月が異名の如く、あっという間に過ぎていく。
見上げる空は、どんよりした雲が覆っていて、今にも重く圧し掛かってきそうだ。
思い出すのは2年前の、ちょうど今日と似たような、空模様のあまりよろしくなく、雪がちらついていたあの日。
自分が彼に別れを言われ、言ったあの日。
あの日からもう、2年もの月日が経った。
中学1年生だった自分は、あの時の彼と同じ、中学3年生。
やっと、自分はあの時の彼と同じ年までたどりついた。
「俺は、あんたのこと、少しは解るのかな…?」
他者に投げかけるような自問自答。
だけど、自分では答える事のできない問い掛け。
あの日、いきなり彼から告げられた別れの言葉。
そして、その翌日から彼を見かける回数が減り、卒業と共に、彼との接点が途切れた。
自分は中学生で、彼は高校生なのだから、出会うことが無いのは当たり前といえば、そうなのかもしれない。
だが、この接点の無さは不自然で、それ以前に、そうなることを予想していたかのような、彼が告げた別れの言葉が気に掛かった。
『別れよう。
僕はこの先、君に会うことはもう出来ない。』
この言葉を聞いた時は、とても重く圧し掛かってきて、それでいて、一歩線を引いた他人事のように意味を飲み込んで。
今考えると、必要以上に冷静な態度だったのだろう。
彼にあっさり返事を返し、いつも家まで送ってくれる彼をその場で断って、これまたあっさりと普通に家に帰って、普通にいつもと同じ行動をとっていた。
それからの日々は、以前と同じ事の繰り返し。
ただ、彼だけがいないだけの一日を毎日毎日過ごしてきた。
そうする内に、段々と日々の世界に色が無くなってきて、周りのことがどうでもよくなって。
そんな日々を過ごしてみて、初めて、自分にとって彼がどんな存在なのか思い知らされた。
会いたい…
会って、今まで気付けなかった想いを届けたい…
思いはどんどん募るばかり。
何も前進しないこの状態に嫌気が差してくる。
自分は2年待った。
なら、今度は2年使って行動すべきだろうか。
「驚いたな。
君が本当にこの道を通るなんて。」
「俺がこの道、通っちゃいけないんスか?
この道通らないと家に帰れません。」
「いや、そういう意味じゃないよ。
ただ、君をこの道で待っててよかった、ってこと。」
「ねぇ、不二先輩。
俺、2年前にこの道であんたに言われた事、忘れたようなんスけど。」
「奇遇だね、越前。
僕も君に言った言葉を忘れたようだ。」
2人してクスクス笑い合い、2年ぶりに抱き合い、キスをして。
終わった場所で、また始まるのも悪くない。
そしてまた、あの日のように雪が降る。
