Black out, Shut down


......バチッ.........

「うわっ」

二人一緒に紡がれた言葉は、瞬間的に訪れた暗闇に呑み込まれた。
先ほどまで点いていた電気やテレビはもちろん、部屋を暖めていたエアコンや、仕事のため使っていたパソコンなど、ありとあらゆる電化製品はいきなり沈黙してしまった。

「.........停電...?」
「...停電、だな。」
「.........そんなに電気使ってたっけ?」
「.........」

暗闇の中、然して慌てるわけでもなく、状況把握に努める二人。

まず、二人がいるリビングを照らす電気は当たり前のように点いていた。
そして、キラがテレビを見ていて、その裏番組でアスランが見たかった番組をビデオ録画している最中で。
当のアスランは仕事のためパソコンを立ち上げており、キラもモバイルの充電をさせていて。
部屋はエアコンを使用する事により暖めていて、お風呂も温度を保つため電気を使用していて。
お風呂を既に入り終わったキラはテレビを見ながらドライヤーで髪を乾かしている途中で。
二階のアスランとキラの寝室も、暖かくしておこうと、ファンヒーターを稼動させている。

そう考えると確かに電気の使いすぎかもしれない。
とはいえ。
アスランとキラが住むこの家は、二人の職業上、他の家庭より使える電力は高めに設定してある。
だからなのか。
今一つピンとこないが、一般家庭でそれら全てを使おうとすれば、良くてもドライヤーを点けた時点でブレーカーが落ちていることだろう。

「...ブレーカー上げに行かないと...」
「アスラン。」
「ありがとう。」

座っていた椅子から立ち上がり、
ブレーカーを上げに行こうとしたアスランに、キラは懐中電灯を放り投げた。
暗闇で、いくら目が慣れてきたからといって、普通そんな中、物を投げられれば慌てるものだが、流石と言うべきか。
キラの行動などお見通しと言わんばかりに、アスランはそれを難なくキャッチしてみせた。

トタトタと、足音が遠のいていく音が聞こえる。
しばらくして軽く小さい音をたて、電気が点いた。
テレビは音を取り戻したが、ビデオの録画は止まってしまっていて、部屋を暖めていたエアコンや二階のファンヒーターも音を立てず、完全に沈黙してしまっている。
そして、その例にも漏れず、あの電化製品も。

「ねぇ、アスラン。」
「ん...?
 あぁ、ビデオか。
 それほど見たかったものじゃないから構わないよ。」
「いや、それもあるんだけど...」

二階の寝室のファンヒーターの電源を入れ直してきたのか、階段を降りてくる足音が響く。
リビングへと戻ってきたアスランに、キラは言いにくそうに言葉を紡いだ。

「その......パソコン、大丈夫...?」
「.....................っ!!!」

事の重大さに今気づいたと言った風に、急いでパソコンを立ち上げるも、強制的に遮断されたことにより、システムを修復しなければならなくなってしまった。
それに加え、仕事で構築していたプログラムも吹っ飛んでしまい、また一から再構築しなければならない。

「............はぁ......」

ため息が出てしまうのも仕方がないだろう。
憂鬱さを拭いもしないでアスランは再び仕事に取り掛かった。





その数十分後...

「......あ...」

また、瞬間的に暗闇は訪れた。




「.........キィラ...」
「...僕のせいじゃ、ないよ...?」

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