うたげ


…ピーンポーンパーンポーン…

高らかに鳴り響く音が町中に広がっていく。
それは、突然のできごとだった。

“本日、午後6時より、新たにこの町の住人となった方々の歓迎会を開催したいと思います。
場所は…”


「…あれ、何?」
「町内放送。」
「…何をやるって?」
「キラとアスランの歓迎会だろ?
 今長老がそう言ってたじゃん。」
「へぇ〜、長老直々に放送するんだ。」

変なコトで感嘆の声を上げているアスランを黙殺して、キラはヒサトに詰め寄った。
耳だけ傾けて、トリィと戯れていたヒサトは、いきなり至近距離にキラの顔が現れたことで、驚きの声を上げるとともに、後退って行く。
何とか早鐘を打つ心臓を抑えようと、左胸に手をあてるのだが、如何せん、まだキラやアスランの整った顔に対して免疫がないのか、すぐにおさまってくれそうになかった。

「歓迎会やるなんて、僕初めて聞いたんだけど。」
「俺も初めて聞いたよ。
 でもあの長老だからなぁ。
 ただの思い付きだと思うけど?」
「「思い付き?」」
「あの長老の考えることは思い付きしかないからね…」

どこか遠い目をして言うヒサトは何か思い出しているようだった。
過去に何かあったんだろう。
そう思い、それには触れずにアスランはキラに向き直った。

「アスラン!!!僕…」
「だめだ。」
「…………………。
まだ何も言ってないじゃないのさ!!」
「お前の言いたいことはよくわかっている。」

何故だか、むきになってアスランに怒鳴りつけているキラと、そんなキラに据わった目で淡々と返すアスランとで、口喧嘩が始まった。
それを横で見ていたヒサトは訳が解らないといった風に2人を見ていたのだが、果てしなく押し問答が続く気がして慌てて2人の仲裁に入った。

「ちょっ…2人とも!!
 何いきなり口喧嘩始めてんだよ!!」
「だってアスランが僕のお願い聞いてくれないんだもん!!」
「聞ける願いと聞けない願いがあるだろう。」
「…キラのお願いって?」
「「歓迎会に行きたくないってこと。」」

“キラのお願い”を2人口をそろえて言いのけた後、また口論が始まった。
飛び交う言葉を頭の中で整理して、ヒサトは1つの結論に辿り着いた。
早い話が、キラは歓迎会や送別会などといった類の催し物が頗る苦手だそうだ。
だから行きたくないと断固として譲らないのだが、アスランもここで引き下がる男でなかった。
半ば呆れた視線を2人に向け、ヒサトは1つため息をついた。


午後6時。
アスランとキラの2人の歓迎会に指定された場所に3人は来ていた。
結局あの後、両方とも折れることもなく続いた口論は意外な結末を迎えた。
痺れを切らしたヒサトが2人を怒鳴りつけようといきり立った瞬間、キラとアスランは2人同時に1つの提案をした。
その提案とは…ジャンケン。
どうやら、昔から2人の間で意見が食い違った時に使っていたらしい。
そして、ジャンケンに勝利したアスランが、渋るキラを会場まで連れてきたわけだ。
その光景を目の当たりにしたヒサトは何度目になるかわからないため息をついたのだった。

「何か、既にみんなできあがってない?」
「この町の人たち限度というものを知らないから…
 でもこれでまだ序の口だぜ?」
「…これで?」

呆然と入り口で立ち竦んでいる2人と、その傍らで飄々とした態度で状況説明をしているヒサトを目敏くも見つけた長老と思わしき初老の男性が3人を中に招きいれた。

「皆の者、お2方を紹介しよう。
 新しくこの町の住民となった者たちじゃ。
 自己紹介などは各自で行うように。
 今夜は無礼講じゃ!!飲んで飲んで飲みつぶすぞー!!」
「おー!!!」

手に持っている酒の入ったグラスを高々を掲げ、町民たちは長老の言葉に同意を示すとともに酒を呷った。
2人は長老に促されるままに酒に入ったグラスを受け取り、適当に座ると周りを人で囲まれていった。
ヒサトは友達に呼ばれたらしくその場を離れたが、その友達に周囲を囲まれ、アスランやキラとあまりかわらない状況となった。



歓迎会と称した宴会がこの日、夜遅くまで続いたのは言うまでもない。

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