真相の暴露
「この姿でははじめまして、だよね。
 ザフト軍最高評議会直属執行部隊ザラ隊所属副長、キラ・ヤマト。
 どうぞ、よろしく。」

一握りの希望を密かに持っていたAAのクルー達を奈落の底へと落とすかのように、冷徹な瞳で残酷な笑みを浮かべ、義務的に言葉を紡ぐ。
瞳に絶望の色を滲ませ、顔面蒼白になるクルー達を尻目にキラはクスクスと笑う。
イザークたちは流石にもう驚きはしなかった。

「キラ、君…?
 あなたは、本当に、ザフト…なの?」
「キ、ラ…?」

搾り出すように、些か震えた声でラミアスは言葉を音にする。
嘘だと言ってもらいたい。
手の込んだ冗談だと。
そんな思いを未だ持ち続けるクルーは少なくもなく、ただ、キラの言葉を待っていた。

「そうですよ。
 何を今更。今自己紹介したばかりでしょう?」

さも、今の状況を楽しんでいるような、無邪気な子供のように笑う。
その瞳は、どこまでも冷たく、ラミアスを真正面から射抜く。
キラの眼光の強さに気圧されながらも、ラミアスは再度、言葉を紡いだ。

「いったい、何が目的で、ヘリオポリスに…?
 AAで、私達を、守っていたの…?」
「…いいでしょう。
 僕は思いのほか、あなたを気に入っているようだ。」

考えを一巡させ、キラは徐に口を開いた。
だが、その音には、もう、彼らの知るキラは、どこにも存在していなかった。

「僕は別にあなた達を守っていたわけじゃない。全ては任務遂行のため。
 といっても、最初はこの任務に僕達執行部は協力する予定はなかった。
 ナチュラルであるムウが単独捜査することにより全てが進むはずだったんだ。
 けど、ムウの思わぬ欠点によって、1世代目のコーディネーターである僕が起用された。」
「思わぬ、欠点…?」
「俺の父親はナチュラルだけど母親はコーディネーターなんだ。
 遺伝子学的によればコーディネーターの遺伝子はナチュラルの遺伝子に対して劣性を表し、子供をなす場合遺伝子操作を受け付けない為、絶対にナチュラルとして生まれてくる。
 そういう見解から俺は分類学上ナチュラルってことになってるけど、俺は根っからの不可能を可能にする男だったらしくてな。
 ナチュラルでありながらコーディネーターと同等の能力を持って生まれた。
 だけど、それは身体能力だけのことで、情報処理能力とかは依然ナチュラルと変わりなく、俺は頗るプログラミングやハッキングなんかは苦手でね。」

キラの言葉を継いでフラガが、自分の出生の顛末を話した。

「ナチュラルを親に持つ僕が中立国であるヘリオポリスにいるのは不自然じゃないからね。
 そうして、ヘリオポリス崩壊の半年前から着々と作戦は遂行されていった。
 僕の役目は極秘に製造されているMSと新造艦の解析。
 そして、新造艦を含め、ヘリオポリスの破壊。」
「なっ!?」
「だけど1つだけ、手違いがあってね。
 解析の方は終わっていたけど、思いの外、新造艦は丈夫で破壊に失敗した。
 ラスティが奪うはずだったストライクを受け取り、AAに潜入したんだ。」
「解析なんて、何時の間に…!?」
「サイ・アーガイル、コレ、覚えてない?」

言葉と共に取り出された1枚のMO。
それはあの日、カトー教授が自分に、キラに渡してくれと頼んだもので…

「まさか…!?」
「そのまさかだよ、サイ・アーガイル。
 前々からカトー教授が僕に頼んでいたプログラムの解析。
 それは全て、秘密裏に作られていたガンダムのプログラムだったんだ。
 彼のおかげで動く手間が少々省けて、とても感謝してるよ。」
「軍の最高機密を、民間人の子供に託すなんて…!!」
「そして、ムウとラスティを上手くAAに乗り込ませて時がくるまで待っていたんだけど…」
「私を人質にしたこと、あまりにも軽率でしたわね。」

キラの言葉を引き継ぎ、ラクスが楽しげに言葉を繋ぐ。
その雰囲気はどこまでも柔らかいものだったが、彼女の瞳はそれに反して冷たく残酷な色を彩らせていた。

「民間人であるラクスを人質にとるなんて、正規の軍人がやることではないと思うけどね?
 まぁ、それによりこっちも手早く任務を遂行できたから、こんな浅はかな真似をしてくれて感謝はしてるよ?」
「………まさか、艦の感知システムが全て作動しなかったのは…!!」
「そう、僕が生命維持装置と艦の主導権以外の回線を全て切り離したから。」

淡々と喋っていくキラにはもう、義務的なことでしかなく、眼の前にいるフレイに対し、残酷な笑みを向けた。
その会話で今まで黙っていたナタルが思い立ったように声を上げたが、全く意に介した様子もなく、その顔に、残酷な笑みを湛えたまま淡々と言葉を紡ぐ。
フレイはその笑みに一瞬たじろいだが、何とか持ち直し、再度口を開いた。

「やっぱり、あんたがパパを殺したんじゃない!!
 パパを返してよ!!!」
「クス…目の前で直接殺されなかっただけでも感謝して欲しいものだね。
 それとも、画面越しじゃなく、目の前で銃で打ち抜かれてただの肉の塊を転がして欲しかった?」

クスクスと、とても楽しげに笑うキラに、地球軍のものはおろかザフト兵も、イザーク達でさえ、キラの表情、残酷な言葉に顔を顰めた。

「化け物…!!!
 あんたたち、人間じゃないわ…!!!
 化け物じゃない!!!!!!」

キラの言葉を頭の中で反芻したフレイは感情のまま叫ぶ。
ことの重大さに気付かず、叫ばれた言葉はキラの心にグサリと突き刺さる。
一瞬にしてキラの表情から笑みが消え、その瞳からは憎悪、嫌悪と言った負の感情を映していた。

「キラ。」
「アスラン…」

音を立て、心が崩れそうになるのを止めたのは、アスランだった。
キラの眼を片手で覆い、自分の胸元へと引き寄せる。
名前を呼ばれ、アスランに触れ、その温もりを感じて…
一筋の涙を零し、キラは意識を手放した。

「キラは眠ってしまわれたのですか?」
「ずっと寝不足だったようなので。
 ラスティ、ミゲル。」
「はっ!」
「キラを俺の部屋へ。」
「承知致しました!」

眠っているキラをラスティに預け、自室へと運ぶため、格納庫を出るのを確認してから、アスランはフレイに向き直った。
その瞳は何の感情もなく、表情はただただ微笑むばかり。

ドン、ドン、ドン…

フレイ目掛け打ち込まれた弾丸は、彼女の顔、手、足など、衣服のない部分を狙って打たれ、いくつかの銃弾の跡を残した。

「キラを傷つけたからには、もう、容赦しない。」
「…なっ!!!
 私だって、キラに…」
「黙れ。
 お前にその名を呼ぶことは許さない。」

言葉と共に首の頚動脈を狙って放たれたナイフは、フレイの髪を一房切り落とし、首筋に1本の赤い線を残した。

「…きゃああぁぁぁぁぁぁぁ…!!」
「耳障りだな、その声。
 喉を潰そうか。」
「ひっ…!!」

赤い髪の毛が散るのを見て、悲鳴をあげるフレイに残酷な言葉を向ける。
音を成す、その声音はどこまでも無感情で、どこまでも冷酷で。
恐怖に引き攣られた顔は見苦しいものでしかなく、耳をつく声は耳障りな音でしかなかった。

「お待ちになってください、アスラン。」
「ラクス?
 どうしました?」
「この方の処分に関しては、私に任せてくださらないでしょうか。」
「…良いでしょう。」

今まさに、喉を潰そうと伸ばされていた手を止めたのはラクスだった。
突然の申し出にも驚いた様子はなく、疑問形ならぬ疑問形で言葉を紡ぐラクスを視界に入れ、肯定の意を表した。

「ありがとうございます、アスラン。
 キラや私に対して吐いた暴言の数々…絶対に許しません。

 その身を以って償うといいですわ。」

柔らかな空気を纏い、残酷な笑みを向ける様はとても恐ろしく、その場を凍てつかせた。







□-◇あとがき◇-□

なにやら黒ラクス降臨しました。
というか、最初っから黒ラクスにする予定でしたので、構わないのですが。

フラガさんの両親、全面的に真咲の捏造です。
遺伝子云々も足りない脳みそ絞ってそれらしく書いてみました。
悪しからず。


…紅の3人組、全く会話がないです…
それ以前に文章表現すらまともに出てないです…
もうちっと話が進めばどんどん出てくると思います。が...

一番出ていないのはバジルール少尉かなぁ?
急遽捕獲時の謎を入りこめましたが…

それにしてもいつもながらにフレイの扱い酷いですねぇ。
今回はキラにではなく、アスランに殺って頂きました。(殺ると書いてヤると読む。ってね。)
といってもラクスにバトンタッチなわけなのですが。
さてさて、キラがフレイに言った一言と一筋の涙を流したことには後々に暴露される意味があります。
それが今回のこの話を作る1つの要素となるのですが。
この話は結構長いかも…