偶然の出逢い
<ハロ、ハロ おまえもな~。>

「ご苦労様です。」

ポットを外から開くと、まずはピンクの球体が飛び出し、柔らかい口調でピンクの髪の歌姫がポットから出てきた。


審問の結果、彼女が民間人であること、どんな理由で救命ポットに乗っていたのか、そして、彼女がどういう立場の人間なのかということがわかった。
ラクスを部屋に軟禁して、ラミアスはキラを探した。

「キラ君。
 ちょっと、お願いがあるのだけど…」
「彼女の、身の回りのこと、ですか?」
「えぇ。
 やはり、皆、彼女がコーディネーターということで…頼めるかしら?
 できるなら私がやっても良かったのだけど…」
「良いですよ。」

伏目がちに言葉を選ぶようにして言葉を紡ぐラミアスに、周りがコーディネーターをどのような眼でみているのかが窺えた。
ラミアス自身はキラのこともあり、然してコーディネーターに対して偏見は持っていないようなのだが、如何せん、皆が皆、定着した脅迫観念を覆せるはずもない。
それはもう、解りきっていることだ。
顔に苦笑を織り交ぜた笑みを張り付かせ、早々に会話を打ち切った。

その後、ブリッジでラミアスとバジルールが些細な諍いを引き起こしている時、食堂でも、フレイの一方的な諍いが起こった。
本音とも言える、暴言の数々。
ふとした拍子に発せられた、無意識による本音の言葉。
暴言を暴言と思わずに発せられる言葉は、深く、心に突き刺さる。





先遣隊との合流。
その知らせがブリッジを湧き上がらせる。
そして、父親も一緒だと聞いたフレイも例外ではなかった。

待ちに待った味方との合流の時、地球軍に在籍するものにとっては悲劇に、ザフト軍に在籍するものにとっては喜劇になる出来事が起こるはずだった。
AAが、卑劣な交渉を持ち出さなければ…



突如として始まった、地球軍とザフト軍の交戦。
戦局が動くわけでもなく、地球軍不利の状況のまま、敗北へと追い込まれていた。

「この子を殺すわ!!
 パパの船を討ったら、この子を殺すって、あいつらに言って!!

 そう言ってぇ!!!」

彼女は最も卑劣な手段で、自分の肉親を助けようとした。
その手段とは、民間人として保護をしたラクスを人質とし、父親の乗る船の攻撃を止めさせること。
だが、それはヴェサリウスの攻撃によって、奇しくも願いは打ち破られる。
彼女の目の前で、戦艦を撃ち落されるという結果によって。

「…いやあぁぁぁぁぁぁ、あぁぁぁぁ………!!!!!」

聞き苦しい叫びと見苦しい恐怖を顔中に張り付かせ、もがくフレイの眼には砕け散った先遣隊の戦艦の残骸しか映っていなかった。
敵の接近を告げるアラームが木霊するブリッジで、無言の沈黙が流れる。
いち早く事の状況を飲み下したナタルは、フレイがしようとしていた行動を実行した。

「ザフト軍に告ぐ。
 こちらは地球連邦軍所属艦、AA。
 当艦は現在、プラント最高評議会議長、シーゲル・クラインの令嬢、ラクス・クラインを保護している。
 偶発的に救命ポットを発見し、人道的立場から保護したものであるが、以降、当艦へ攻撃が加えられた場合、それは貴艦のラクス・クライン嬢に対する責任放棄と判断し、当方は自由意志でこの件を処理するつもりであることをお伝えする。」
「バジルール少尉!!!!」

全周波放送で伝えられたある種の取引き。
ナタルを諌めるようにしてラミアスは彼女の名前を叫ぶも、彼女にとっても、こうするしか自分達が生き残るのに道がないことを承知している。
このような手段に出てしまうのは、己が弱いから。
守るべき民間人を危険に曝してしまう。


決して取ってはならなかったこの手段を用いてしまった事に気付くのは、そう遠くない事…




「おいおい。
 ラクス様もこの艦に乗ってるのかよ...」

静寂しかなかった空間に、ラスティの呟きが闇の中に溶け込む。
その声音とは異なった表情を見せる、その意味は…



「…………もう、この艦にいる義務はなくなった…」

密かに呟かれたその言葉が意味するものは…
そして、この言葉を発した者は、本当に、1人なのだろうか…?







□-◇あとがき◇-□

さてさて、そんなわけで短いですが、切りがよかったので4話目はここにて終了です。
短いのは織山がめんどくさがって省きまくったからなのですが。
流石にアスランが出てこなくていい加減飽きてきたのでしょう。この話が。

そしてそして。
最後の呟きはいったい誰のだったでしょうか。
まぁ、お解かり、キラ君なのですが。
最後の1文が引っかかると思いませんか???(悪笑)

次から話はアスキラになるはずです!
多分、織山の我慢が限界を越してアスキラになるでしょう。

それにしても今回、省きが多くて全く会話文がないですね…
そして、ナタルさんのセリフが長かった…
そんでもって、いつもながらに『あとがき』が長いと。
本末転倒って感じですが…(←意味が少々違うかな?)

サブタイトルの『偶然の出逢い』とは、ラクスとの出逢いのことです。
さてさて、どのような意味があるのかは…後々わかりますよ。