暴言の結果
度重なるヘリオポリスでの戦闘。
その敵味方問わずの攻撃の被害に、耐え切れなくなったのか崩壊していく大地。
宇宙に吸い込まれていく機体の中で、今し方まで交戦していた愛しき人を、想う。



「キラ・ヤマト。
 キラ・ヤマトはいるか。」

軽い音をたて、開いた医務室のドアの先には、軍服をきちっと着こなしたバジルール少尉が立っている。
いつものように厳しい表情をしたまま、部屋の奥に設置された簡易ベッドの横に座っていたキラを見据え、義務のような言葉を発した。

「コレより先、再びザフトとの交戦が始まるだろう。
 此の艦と君が拾ってきた民間人を守るため、またストライクに乗ってもらう事になる。」
「コーディネーターを嫌っているなあなたが、コーディネーターである僕と取引きしようというのですか?
 バジルール少尉。」
「…此方としても不本意なのだが、守れる力を持っているお前に頼るしかないのだ。
 そうしなければならないほど、此方は非力ということだ。」

キラの挑発にも、厳しい姿勢を崩さずに淡々と話していく。
彼女には今置かれている自分達の立場を充分に理解しているのだ。
そうしなければ、次にやられるのは自分達だから。
彼女も彼女なりに、この艦に乗っている民間人を危険にさらしたくないのだろう。
自分達がこの戦争に巻き込んでしまった。
だからこそ。
唯一、守らなくてもいいほどの力を持つキラに脅迫めいた言葉を発し、逃げ道を奪うのだ。
それが例え、彼女の傲慢だったとしても。
簡易ベッドの上に横たわったラスティを一瞥して、彼女は早々に部屋を後にした。
ナタルと入れ替わるようにして、閉じられようとしていた扉が再び開き、フラガが部屋の中に入ってきた。

「これからこの艦はユーラシアの軍事要塞・アルテミスに入航する。
 ストライクの機動プログラムをロックしておけ。

君以外、誰も動かせないように。」

ウインク付きで小声で囁かれた声は幾分低く、耳に馴染んだ。
それから、と言って、フラガはラスティが着ていたパイロットスーツを隠していく。
流石にコーディネーターの、それもザフトの軍人を保護していると知られるのは些か分が悪い。
そう考えの行動なのだとわかり、彼ならコーディネーターだろうと忌み嫌うことはないと確信し、キラはストライクをロックすべく格納庫へと向かった。



それから後、AAはアルテミスへと入航を果たした。
すぐにラミアス、ナタル、フラガの3名が連れて行かれ、民間人とともに、AAのクルー達は食堂へと集められた。
心にもない言葉を音にして、アルテミスの指令と言葉を交わしていく。
防護兵器、傘に絶対の信頼を寄せるユーラシアの軍人に部屋に軟禁され、つくづく頭の固い連中だと認識した。



『裏切り者のコーディネーター』



浅はかな考えを持つフレイにより、知られてしまった事実。
それにより、この先の運命がどうなるかも考えずにキラに向けられた暴言。
薄汚く、気持ちの悪い笑みを浮かべるアルテミスの司令官、ガルシアはキラの纏う空気が一変したのにも気付かず話を進めていく。

「君にはもっと他の事ができるだろう?
 例えば、コイツの構造を解析し、同じモノを作ったり、逆にこういったMSに対して有効な兵器を作るとか。

 地球軍側につくコーディネーター…
 なぁに、君は優遇されるさ、ユーラシアでな。」



そして、ニコルが乗るブリッツのミラージュコロイドにより、絶対の自信を持っていた傘を突破され、アルテミスは壊滅した。
その事実を知り、残酷な冷笑を浮かべる者は少なくなかった。


「?どうしたんだ?キラ。」

気配もなく、軽い音を立てて開かれた扉。
不信に思い、視線だけを入り口へと巡らせると、そこにはキラが立っていた。
その表情は暗く、瞳は酷く冷めている。
何も言わず、何も言わせない。
そんな気配を感じ、ラスティはただただ、キラを見つめていた。
ゆっくりとキラは動き出し、確かな足取りでラスティの隣へと場所を移す。
2人とも、何も言わず、時は流れていった…





その後、補給もままならい状況で空へと出てきてしまったAAには水の問題が発生した。
機体整備のために使う水でさえ、制限がかけられるほどに。
そこで、フラガの案により、進路上にあるデブリ帯にて水を拝借する事となったのだが、そこにはユニウスセブンの残骸も漂っていて…
自分達が生き残るため。
そう、自分達を合理化して。
凍り付いているユニウスセブンに残っていた膨大の量の水を拝借した。

そして、拾う事になった。
この広い宇宙空間を漂う、歌姫を乗せた救命ポットを。







□-◇あとがき◇-□

かなり省きまくっての3話目です。
ラスティ、少しだけしかでてきませんが、実のところ、言葉遣いをどうするか迷ってのことです。
中々黒キラにする機会がなかったので、フラガさんが言うはずの「力があるなら~」の部分をバジルール少尉に言ってもらいました。 なんとなくこの人に言ってもらえれば黒くなるかなぁ~と思ってのことです。
えっと、一つ言い忘れていた事なのですが、省いてあるところは全て本編と同じだと思ってください。
話の展開的には間違っていないはずなので。
ここからが変わってきます。
ラクスが登場しますので。
因みに。
アスランが全く登場してませんが、アスキラです!!!!
誰がなんと言おうとアスキラですので!!!!!!
そんでもって黒アスキラなのですよ!!!!!!!!
そしてそして。
フレイの扱いが、またも酷いものとなっております。
そりゃぁ、当然でしょうねぇ。
なんたって、私、フレイ大っっっ嫌いですから。