浴室からの声
ピッピッピ………ピーーーーーーーーー…
「あれ…?」
「おいおい、ロックかかってんじゃん。
どうすんの?コレ。」
「しょうがないな…」
ピッピッピッピッピッピッピ………ピピッ…ピピッ………シュン……
アスランとキラの部屋へと着いた5人。
ラスティがドアを開けようとキーを押すと、ロックがかかっていることを告げるアラームが鳴り響いた。
それに対し、呆れた風にディアッカが茶々をいれるが、別段意に介した風でもなく、ため息と共に言葉を吐き出したラスティは7桁の暗証番号を入力した。
入力された番号を読み取る機械音が鳴り、すぐに軽い音をたてて部屋の扉が開く。
「…いいのか?
仮にもお前たちの隊長の部屋のロックを勝手に外して。」
「平気、平気。
俺たちが踏み込んでいけない時はどうやっても開かないようになってるから。」
「…と言いますと?」
イザークが些か訝しげな表情でラスティとミゲルを見やれば、当の2人はあっけらかんとした様子で部屋へと入っていった。
それに続くようにしてイザーク、ニコル、ディアッカは室内へと足を踏み入れる。
小さく「お邪魔します」と律儀にも言ったニコルが辺りを見回しながらもラスティに言葉の意味を尋ねた。
「部屋のロックの度合によって踏み込めるか否かがわかる。ってこと。
最初の普通の開錠で開けば、誰でも入れるし、7桁の暗証番号で解除されるロックの場合は、知ってる人間なら入れる。
それ以上の場合はアスランかキラが内側から開ける、若しくはアスランやキラ以上のプログラミングの技術がないと到底無理ってこと。」
「まぁ、要するに、本当に踏み込めないときはどう足掻いても無理ってことだな。
アスランやキラを出し抜けるほどの技術を持った奴なんて誰もいないから。」
飄々とした態度で言葉を紡ぐミゲルに継いでラスティも答える。
確かに、アカデミーにいた時でさえ、アスランに敵う者は誰一人としていなかった。
互角かと思われたイザークでさえ、大差をつけて引き離し、ダントツでトップの座に居座っていたのだ。
そのアスランが本気で他者を拒み、部屋のロックのプログラムを組んだとしたら。
そして、更に、そのプログラムにキラが手を加えたら。
先ほどの、キラがハッキングをする時に使うというルートの話を聞いただけでも、その能力はアスランと同等、若しくはそれ以上と考えていいだろう。
もし、そんな2人が手を加えたプログラムを組み立て、使用したとしたら。
そう考えると、ラスティの言葉も頷ける。
冷静にそう判断を下したイザークは苦虫を噛み潰したような表情で部屋を見渡した。
2人部屋だというのに、かなり広いその空間に、机、ベッドだけではなく、トイレやシャワー室にもそれぞれ各空間があり、小さなキッチンや、2人分のクローゼットなどもついている。
何処ぞのホテルよりは寛げる空間だった。
「アスランは何処だ?」
見渡す限り、白を貴重としたモノが多く、必要最低限のモノしか置いてないので、より広く感じられる。
そんな中で、部屋の主の姿が見えず、イザークとしては当然の疑問だった。
この部屋にいるというから此処まで赴いたのに、当の本人がいなければ来た事が無駄になってしまう。
その意図に気付いたのか、ミゲルは苦笑しながらイザークを宥めにかかった。
「まぁまぁ。
多分2人なら風呂場だろう。
声が、聞こえてくるだろう?」
入り口付近にいたイザークたちには聞こえなかったが、確かに、部屋に踏み込み、中央に来れば、微かだが声が聞こえてきた。
それにより、浴室までついていることに驚いたのはイザークだけではないだろ。
イザークやニコル、ディアッカの部屋にシャワー室はついている。
だが、そのシャワー室は本当にシャワーだけであり、トイレと同じ空間にある。
ここまで優遇されるのか、執行部隊というものは。
そう思わずにもいられなかった。
「なぁ、だけどさ、聞こえてくる声、聞く限りだと俺たち踏み込んで言い訳?」
「大丈夫、大丈夫~。」
かなり苦い顔をして告げるディアッカに、気軽にそう答え、どんどん浴室へと向かう。
浴室に向かうにつれ、2人の声が鮮明に聞こえてくる。
『やぁ…アスラン…
もう、……熱くて、溶けそうなの…』
『ダメだよ、キラ。』
『やぁ、だって……アスラ、ン…』
『ホントにキラは堪え性がないよね。』
『もぅ、無理ぃ…』
既に扉の前にきてしまったミゲルとラスティ、その一歩下がったところ、部屋から浴室へと続く扉にイザーク、ニコル、ディアッカが立ち並んだ。
聞こえてくる声は情事の最中としか思えないような声で。
そんな中に踏み込んでいって良いものか。
いや、答えは決まりきっている。
絶対に、否、だ。
だが、ミゲルとラスティは飄々とした態度を崩さずにそのまま浴槽へと踏み込もうとしている。
『しょうがないな。
ミゲル、ラスティ。そこにいるんだろう?
キラを頼む。』
ニコルが2人を止めかけたとき、浴室から声がかけられた。
その言葉と共に、浴室の扉が開き、アスランが出てきた。
アスランの腕には、華奢と表現するに相応しいくらい細い体躯をした少年が抱えられている。
何時の間に準備したのか、ミゲル、ラスティの手にはバスタオルがあり、アスランからその華奢な少年を譲り受け、身体についている水滴を拭く。
ラスティからバスタオルを受け取ったアスランは扉付近に立ち並ぶ3人を視界にいれ、すぐに少年、もといキラへと視線を戻した。
ぐったりとした様子でなすがままに身体を拭かれているキラに服を着させて自分もアンダーシャツにズボンと言うラフな服装をする。
「勝負は俺の勝ちだな。キラ。」
「……………」
「勝負…?」
「あぁ。
どっちが長く浸かっていられるか勝負してたんだ。」
「~~~~~~~~~!!!!
紛らわしい声を出すな~~~!!!」
無邪気な子供のような笑みを浮べながら、抱き上げたキラに向け、アスランが楽しそうに言葉を紡ぐ。
その言葉をキラは無言で、拗ねたような表情をして受け流すと、訝しむような表情でアスランが口にした、聞き捨てならない単語をニコルが聞き返した。
それに対してにっこりと笑みを浮かべ返答をするアスランに、イザークが怒鳴り散らす。
いきり立つ猫のようなイザークをディアッカがすかさず宥めに入るが、到底収まる気はないらしい。
「けど、何ものぼせるまで浸かる事ないんじゃない?」
「そうですよ。
温まる方が良いのはわかるますが、流石に温まりすぎると逆に身体に毒ですよ。」
少々苦い笑いを含ませながらキラやアスランを咎めるラスティ。
そして、それに便乗するかのように、素早くニコルが口を挟む。
アスランを見やると、笑みを含ませた表情でキラを自分のベッドへと降ろし、自分も腰を下ろすところだった。
「さっきの声、俺たちに、っていうか、イザーク達に対しての悪戯だったんだろ?」
「流石、ミゲル。
よくわかってるね。」
「そりゃぁねぇ。
幾度となく最中の時のキラの声、聞かされてたらウソかホントか判別がつくって。」
「ふぅ~ん。
あんまり楽しくない結果になっちゃったね。」
「これはこれで、結構楽しめたけどな。」
苦笑をそのままに、ミゲルがアスランとキラに話し掛ける。
返事をしたのがキラで、その次に言葉を発したのはラスティ。
そして、再度キラが口を開き、それを返したのがアスラン。
浴室から聞こえてきた声の真相を聞かされた3人は、義務的に、4人の会話を飲み込んでいた。
要するに、自分たちはただ、アスランとキラにからかわれていただけに過ぎない。
そう、判断するに有した時間は流石というべきか、モノの数秒で済んだ。
だが、ラスティの言葉を聞き捨てて良いのか拾った方が良いのか。
それを疑問に思うニコルだったが、返ってくる言葉が容易に想像できたので、あっさりとその考えを打ち捨てたのだった。
「アスラン。」
「ほら。
自分で飲める?」
「ん。飲む。」
アスランは名前で呼ばれただけで、キラの欲しいモノを察し、素早く冷水の入ったコップをキラに手渡す。
軽口を叩きながらも、本気で、「アスランが飲ませて。」と言いかねない雰囲気に、内心、シドロモドロしながら、3人は見守っていると、キラから「自分で飲む」という返答を聞き、密かに安堵してしまったのは仕方のないことだろう。
のぼせたせいか、少し、赤みが差していたキラの頬も次第に和らいできた。
キラから返されたコップをアスランは備え付けの簡易なキッチンへと持っていく。
「キラ、悪いけど、お前のオトモダチに会ってやってくれ。」
「はぁ!?
今から!?」
「そうだ。
キラが起きててあいつらがこの場にいれるのは、どう考えても今しかないからな。」
「てことは、アスランはあの『キラのオトモダチ』を民間人としてオーブに送るつもりなのか?」
いきなりのアスランの言葉。
驚くなと言う方が無理だろう。
含みのある言葉を聞き、ラスティが言葉を返すも、これまた含みのある笑みで一蹴されてしまう。
イザークたちに断る事もせず、さっさと話を進めてしまい、キラに軍服を着せて、自分も軍服を着込み部屋を出て行くアスランの表情は、とても楽しそうだった。
□-◇あとがき◇-□
…話が全然進まなかった…
てか、書こうと思えばこの続きにかけたのですが、自分的に、連載小説(1話完結モノじゃないモノ)を書くとき、一話は絶対にワードに換算すると5ページぐらいって決めてるんですよ。
なので、結構いつも長さがまちまちになってしまってマス。
……何がいいたいのかよくわかんなくなってきちゃった…
てか、この話の展開もわかんなくなってきそうでなんか怖いです。
連載って大変ですねぇ。
前に書いたことがちゃんと頭に入ってなかったり…
謎が謎のままで終わりそうなので一番怖いです。