浮かぶ疑問
「ん…ぁ…?
アス、ラン……?」
「おはよう、キラ。
よく眠れた?」
「うん。アスランがいたから…」
微かに瞼を震わせ、瞳を開けたキラは、自分が抱きついて離さなかった相手の名前を無意識のうちに口ずさんだ。
当然、呼ばれた相手は起きてるわけだから、返事をし、挨拶と言わんばかりに、其処此処にキスを仕掛けた。
擽ったそうに身を捩りながらも、自分から唇にキスを求める。
軽い音を立てながら触れ合う唇に、安心感を覚え、キラは再度眠ろうと目を瞑った。
「ダメだよ、キラ。」
「ん~…寝かせて…」
「ダーメ。
ほら、もうそろそろミゲル達が来るかもしれないからお風呂入ろうね。」
「んむぅ~~~~…」
僅かに眉間に皺を寄せるキラに苦笑を洩らし、慰めるように宥め、キラを起こさせる。
眉間に寄ってしまった皺をほぐすように人差し指を押し当てぐりぐりと摩り、尚も駄々を捏ねるキラを強制的に部屋に備えついている風呂場に連行する。
「アスランも、一緒?」
「うん。
一緒に入るよ。」
「ホント!?なら入る!!
髪の毛洗ってね。」
「はいはい。」
泣いた子が笑った。という表現が一番しっくりくるだろう。
そう思わせるほど、キラの表情はコロコロ変わった。
AAに居たころには絶対に見せない表情が、アスランを前にすると自然と出てくる。
そのことを知るのはアスランを除くと、3人。
任務を共にするミゲルとラスティと、アスランの実父のパトリック・ザラの3人だけだ。
「なぁ、ミゲル。」
「ん?」
「あいつら、いるかな?」
「…お前はどう思うんだ?」
「…多分ミゲルと同じだと思う。」
クスクスと、ミーティングルームへ続く廊下をふよふよと漂いながらの会話。
2人とも、確信を持っている。
彼らが、伊達に紅を着ているわけじゃないことを知っている。
だから、今回のことにも、首を突っ込む事になるだろう。
イザークにすれば、『打倒アスラン』を誓う男だから、必ず食い下がってくるだろうし、ニコルは、知らない事は吸収したがる性質だし、ディアッカに至っては、そんな2人を放っておけないという、一番の苦労人だ。
だが、その実、自分のことよりも仲間のことを一番に思いやる男なのだ。
軽い音を立て、ミーティングルームを覗くと、案の定3人は其処にいた。
イザークは仏頂面で腕組みをして座っていて、ニコルは愛用のパソコンを使っている。
ディアッカは部屋の隅のほうで音楽を聞いているという、三者三様の待ち方をしていた。
「ここにいる、ってことは、話を聞く気がある、と解釈していいわけだな。」
「なら付いて来い。」
「待って下さい。
聞きたいことが…あるんです。」
そのまま踵を返し、出て行こうとする2人をニコルが止めた。
「あなた達の話を僕なりに理解をして、調べてみました。
でも、どの機関にも、あなた達の話を裏付けるモノがありませんでした。
これは、どういうことですか?
僕達は、あなた達の話を信用して、いいんですか?」
「…どこにも情報がないのは当たり前だ。
俺たちのことは上層部が、計画のことはキラが全て消し去ったからな。」
「ただ、唯一残っているとしたら、キラがハッキングをする時に使うルートだけ。」
「キラさんが、使うルート…?」
訝しく思いながらもニコルは聞き返した。
自分たちがハッキングに使う機関と異なる機関の存在を知りたいと思ったからだ。
「あぁ、キラはそれを倉庫<アーカイヴ>と呼ぶ。
電脳ネットに存在する立方体の黒い箱だ。
大きさとしたら、俺たちの頭1コ分と考えていい。
そこには真実だけが記されている。
過去のことからあらゆる、この宇宙に存在する全てのことまで。
そして、未来をも記す。」
「倉庫<アーカイヴ>は誰かが書き記すんじゃなく、既に未来まで書き示されている。
その情報を消す事も、書き加える事も人の手では成すことはできない。
倉庫<アーカイヴ>は電脳ネットの情報と言うデータで構築された塔にある。
だけど、その存在を知るものはほとんどいない。
塔を探し当てる事すらできないから。」
淡々と話すミゲルの言葉をラスティが継ぐ。
「さて、どうする?
いくら調べたところで、俺達を信じる要因は1つもない。
俺たちのことを信じる信じないはお前たち次第だ。」
「僕は…信じますよ。
キラさんとも話をしてみたいですし。」
「ふん。
俺はそんなことどうでもいい。」
にっこりと、意地の悪い笑みを浮かべ、ラスティは問い掛ける。
元より、3人とも腹を据えていたのだから返事は決まっていた。
ニコルは1度目を伏せ、真正面からラスティを見据え、笑みを向けた。
イザークも早くしろと言わんばかりに少々乱暴に言葉を紡ぎ、ディアッカも意地の悪い笑みを向ける。
「んじゃま、案内するから付いて来いよ。」
「…そういえば、どこに行くんだよ。」
「ん?言っただろ?
『アスランとキラに関しては本人の了解を得ない事には話せない』って。
だから、本人たちのところ。」
「まぁ、多分…起きてると思うし…なぁ?」
「ていうか、もし最中だったりとかされると困るし…ねぇ?」
ラスティとミゲルはお互い顔を見合わせながら幾分苦い顔をしてみせる。
その内容を不思議に思いながらも、どんどん進んでいく2人を追うことにした。
これから知らされる真実。
それによって、全てを捨てることにもなりかねない。
軍人になると決めたときから幾度となく、こういった覚悟はしてきたつもりだった。
だが、それ以上の覚悟を強いられる事実。
幾許かの不安を覚えながらも、続く廊下を今はただ、ひたすらに進むだけ…
□-◇あとがき◇-□
なにやら短いですが、キリがよかったのでここで区切らせて頂きます。
いやぁ、微妙にしかアスランとキラ、出てきませんね…ι
けど、次はちゃんと出てきますよ!!!
最初から最後まで!!!
アスキラ~~~vv
しかも念願かなっての黒ですよ、黒!!!
黒サマ降臨しますよ~~~~vvv
そして、多分歌姫も出てくる…かなぁ???
出したいとは思うのですが、過去の話に突入するとなると、次の次に回るかも…デス。