prologue


「難破船…ですか?」
「そうだ。
 本国からの指令でな、オーブ製のシャトルが宇宙海賊に襲われたらしいんだ。」
「此処からそう遠くは無い場所なの。
 今この艦に避難民を保護するだけの食糧も水もないのはわかっていますが、見捨てるわけにもいかないの。」
「わかりました。
 それでは僕は機体の方で待機していますね。」

ここはオーブ所属艦アークエンジェル。
L5に浮かぶ中立国オーブの資源衛星ヘリオポリスで自衛の為にと極秘に作られていたもので、情報伝達が誤ったのか、故意的なのかは定かではないが、2週間前、ザフトの攻撃に合い、ヘリオポリスは陥落した。
同時進行して制作されていたMS1体。
そしてその1体はこちら側にあり、
被害はヘリオポリス崩壊と主だった士官の犠牲のみで終わった。
不幸中の幸いか、生き残った者たちをかき集め何とか崩壊に便乗して宇宙へと飛び出したAAは、ザフトの追撃もなく、物資不足という点は否めないが、安全に航路を進んでいる。
そこへ舞い込んできた、難破船の報せ。
断る理由、は多少なりともあるが、人道的立場で以ってしてみれば、首を横に振ることなどできない。
それは他の船員にしても同じだったのか、この命令は簡単に受理されることになった。
そして、それはこの作戦には必要不可欠な、こちら側にある唯一のMSのパイロットである彼も承諾してくれている。
戦闘にだけはならないで欲しいと願いながら、艦長席に座るAA現艦長、マリュー・ラミアスは彼を見送った。

彼、キラ・ヤマトは、元々は非戦闘員だ。
工業カレッジの学生で、戦争を好まないため、中立国オーブに避難してきたコーディネーターだ。
ザフト襲撃の折に、偶々工場区に迷い込んでしまったキラに助けられ、剰えまだ不完全だったMSのOSを解析、構築しヘリオポリス脱出に一役買ったのもキラだ。
民間人であるキラを、いくらオーブ所属艦だからといって戦闘に巻き込みたくは無かったのだが、彼は自発的に、共に乗っている友達を守るためにとMSに乗ってくれた。
そしてその友達も、艦の仕事を手伝ってくれている。
その時、申し訳ないとういう気持ちと共に、心の奥底で沸き起こった安堵感に船員たちは皆心底自分を嫌悪したのだ。
自分達の非力さ故に、コーディネーターと言えども、子供を戦場に出さねばならない事に。
その事を、キラは知っている。
だからこそ、彼らの優しさを知っているからこそ、キラの守りたいものの中に、この艦も含まれている。
この事を、彼らは知らない。

「艦長。
 そんなしけた面するなって。」
「ですが、少佐。」
「坊主は大丈夫だ。
 だから心配するなって。」

浮かない表情をしたままのマリューを元気付けるように言葉をかけるは、ムウ・ラ・フラガ。
一段下がった位置にこちらも心配そうに見やるナタル・バジルールの姿もある。
他にも席に着いたまま、マリューを心配しているクルーの姿もあり、苦笑と共に心に燻っていた蟠りを捨て、いつものきりっとした表情で号令をかけた。

「本艦はこれより、難破船保護作戦を開始します。
 どれだけの人数が船に残っているのか把握できていませんが、迅速且つ的確な行動を願います。
 
航路修正、アークエンジェル、発進!!」

↑ PAGE TOP

About link

[Name] HeLlo,WoRld!
[Master] 織山真咲
[Address]
http://xxxcage.tudura.com/

HeLlo,WoRld!