01.赤信号を背に
機体がロックされた事を告げるアラートが鳴り響く。
振り上げた剣を渾身の力で振り下ろし、叩き切った相手のMSの腕をミサイルが向かってくる方へ反動で蹴り上げた。
片腕を失っても尚向かってくる相手を再起不能にしていく。
一機倒してもまた一機。
続々と向かってくる相手をどうにかかわして致命傷を与えていった。
キラの駆るストライクは今、地球の重力を受けないギリギリのところでザフトと戦っていた。
地球連合軍とザフトの戦いが、AAの地球降下作戦真っ只中に勃発した為だ。
通常ならば、MS単体での地球降下は例がないためこういった場合出撃させることはない。
しかし、ザフトの追撃が厳しい中、無事に降下を果たすためには致し方ない選択だった。
戦いが激しくなるにつれ、AAとストライクの距離はどんどん離れていく。
どうにか距離を縮めようと奮闘するも、相手がそれを許しはしない。
一機、また一機と確実に仕留めていく内に、ストライクは高度ギリギリのところまで地球に近付いてしまった。
地球の重力に引っ張られ、ストライクの出力では降下を防ぐことも、前を降下していくAAに機体を寄せることも出来ない。
後はもう、落ちるだけ。
キラが覚悟を決め、眼前のディスプレイに目を向けた。
目の前には闇色の宇宙が広がり、その中に、深紅の機体が一層映える。
「...アスラン。」
思わぬきっかけで敵対してしまった愛しい人を、無意識の内に呼んだ。
「呼んだか?キラ。」
機械越しの声がコックピット内に響く。
外界の様子を見せるディスプレイの右上の小さな画面が開き、その中に闇色が広がった。
「ど、うして...?」
「気付いたら、飛び出してた。」
紅い機体が徐々にストライクに近付いてくる。
軽い衝撃を受けて、イージスに取り付かれたことを悟った。
「僕をザフトに連行するの?」
「しないよ。
けど、地球軍にも渡したくない。」
「アスラン...」
「話がしたいんだ。」
青い世界に落ちゆく、白と紅の機体。
軌道修正を計ろうとも、地球の重力に引っ張られ、落下速度が増した今ではもはや機体の指一本動かすことも難しい。
シールドを機体の前に突き出して、このまま青い世界に呑み込まれることを覚悟した。
「イージスの出力ではこれ以上の軌道修正は無理だ。
ねぇ、キラ。
何処に落ちたい…?」
「君と一緒なら、何処へでも。」
赤いランプが警告を発し続ける中、二人は無邪気な子供のように笑い合った。
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02.空は青に暮れ
Coming soon...
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03.春咲きの黄色
Coming soon...
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