01:序章
ある日、一人の堕天使は言った。
「上から眺めるのはあきた。
下へ行きたい。」
その堕天使の仲間たちも同意見だった。
生まれた時から上にいて。
けど、更にその上には行けなくて。
下の下にも行けなくて。
自分たちの存在と同じような中途半端な場所にずっといた。
自分と同じ仲間はいたけど、ずっと同じ生活の繰り返しはホトホトあきる。
自分たちには、上の上のような掟も、下の下のような戒めも何もない。
自由なのだ。
それを嬉しく思いながら、堕天使たちは背中の黒い翼を広げて地上へと降りていった。
堕天使は、元から堕天使なわけではない。
そして、天使も、元から天使なわけではないのだ。
なぜなら、天使の翼も、生まれた時は漆黒なのだから。
天使となる者は、生まれてすぐ神の加護を受ける。
その加護を受けなかった者、それがつまり堕天使と呼ばれる者たちだ。
神の加護とは、その身に神の吐息を受けること。
それにより、漆黒の翼は純白へと姿を変える。
そして、加護を受けなかった天使は、神々が住まう天上界から天界へと堕とされてしまう。
そのことに、堕天使たちは、不満も何もなく、ただあるがままの現実を受け取めるのみ。
天使になるのか、堕天使になるのかは、全て神の気まぐれなのだ。
こうして、地上へと降り立った堕天使たちは全部で八人。
地上での、端から見れば奇妙な共同生活が幕を上げた。