01:任務受付中
「快斗、次の獲物が見つかった。
 任務だ。」
「.........」

ニュースが放送されていたテレビ画面に突如映し出された初老の男性。
その人物は特定の名前を言葉にすると淡々と用件を告げていく。
その画面を見ていた快斗もロイも、一瞬驚きはしたが全く慌てた素振りはなく画面の中の初老男性だけが元気に話し掛けていた。
暫く続いた話も、「じゃ、よろしく。」の一言で終わりを告げ、またテレビの画面はニュースに移り変わっている。

「またかよ。
 一体いくつ在るんだよ、パンドラの宝石は。」

憮然とした表情で言い放つのは、先程初老男性に名指しされた快斗。
頭をガシガシと掻きむしりたい衝動を抑えつつ、告げられた任務内容を反芻して飲み込んでいく。

「今月に入って3度目だな。
 人遣いの粗い人だ。」

今月に入ってまだ2週間程しか経っていないのにも関わらず今日の伝令で3度目ともなれば、内容を知っているロイでなくとも同情したくもなる。
と言っても、あの初老男性の任務を請けているからこそ、この人界に居座っていられるのだが。
先程の初老男性はこの世界の全てを管理している天帝と呼ばれる人物だ。
人界では全く識られてはいないが、神よりも位が上で、この世界で一番偉かったりする。
快斗の言っていた『パンドラの宝石』とは、数世紀前に人間のパンドラと言う名の女性に恋をした天帝が、彼女にプレゼントした宝石の事だ。
それは彼女の死後、遺産目当ての遺族達に寄って各地にばらまかれてしまい、行方知れずとなっていた。
その宝石達は、各々強い天帝の意志が込められており、想いを向けられたパンドラ以外の者が迂闊に手を出せば、その身に禍が降り懸かる代物で。
回収しようにも、天帝は天上界のさらに上の空白界からは降りてこられない為、今日まで放っておかれたのだ。
それを、何の掟も戒めも持たない快斗達8人が人界に降りたので、ここぞとばかりに職権乱用して回収させていたりする。


「それにしても、今回の登場はテレビだったか。」

毎回、天帝の登場の仕方が違うのだ。
快斗の携帯に電話が掛かってきたり、家のファックスに文書で届けられたり、パソコンの画面にドアップで天帝の顔が映しだされたり。
一番心臓に悪かったのは、朝まだ完全に目が覚めていない時の登場だろう。
あろうことか、鏡に映った自分の顔が天帝の顔に形を変えたのだ。
あの時ほど、天帝相手に殺意を覚えたことはない。
あまりの回想に遠い目をしそうになった己を諌め、快斗はソファーから立ち上がった。
向かう先は、この家の半分の面積を使用している書斎。
情報収集に予告状と言う名の暗号作成、回収の為のシナリオと下準備。
宝石回収までの流れをざっと組み立てて、今日もまた、快斗は書斎に篭る。



さぁ。
ショーの始まりだぜ。







□-◇あとがき◇-□

番外篇第一弾。
本篇でKIDのことに触れていなかったためちょいと認めてみたり。
ただ単に天帝という人物を出したかっただけなのか否か。
自分でも良く分からないのですが。
こんな感じで番外篇綴っていきます。
一応まだまだ出さなきゃいけないキャラとかいますんで、もうしばらくお付き合いください(笑)