■08.枕に埋めた額
足元や布団の両サイドなんかに、未読の本や、既読の本を高く、幅広く積み重ねて。
時々不意打ちのように、本の雪崩を起こして、本に埋もれて。
それに苦笑して、今度は崩れないように、バランス良く積み重ねた。
そんな、日常だったものが、呆気なく、壊れていく。
雪崩を起こす、本の山のように。
ふと、目が覚めたのは偶然だったかもしれない。
この怪盗を相手に、無防備に眠り込けているなど、コナンのプライドが許さないが、その存在に慣らされ、あまつさえ、傍に居るだけで安堵感を覚えるようになった今では、寝ている時に近付かれても起きないということはざらにあった。
「おや、お目覚めですか?名探偵」
「キ...、ッド...?
なんで、ここに...?」
俯せにベッドに沈むコナンの枕元辺りに腰掛け、シルクハットを脱いだキッドが、コナンが起きたことに気付き頭を優しく撫でながらふんわりと笑う。
慈しむような笑みで、コナンの目尻に溜まった滴を、キッドは綺麗な指先で拭った。
「小さな猫の鳴き声に導かれまして。」
キッドが言う“猫”とは、コナンのことを指していて、その事にコナンも気付いていたが、寝起きの為か、反論する気にもならず無言を通した。
そんなコナンを気にする風でもなく、キッドはコナンの頭を撫で続ける。
慈しみ、愛でるように。
白い手袋越しに、キッドの体温が伝わって。
コナンをまた、眠りの淵へと誘い出す。
もう一歩。
踏み出せば、夢へと揺蕩うことが出来る。
「今は、ぐっすり眠って下さい。
こればかりは、焦っても仕方のないことですから。」
夢へ落ちる、その瞬間。
聞こえた言葉は、慰めか、励ましか。
□-◇あとがき◇-□
Kコですね。
はい。
何となく、現実を突きつけられて密かに涙するコナンさんが書きたかったの。
んで、KIDに慰められればいいかなぁ~。なんて。
2007.03.02