■もしも「浦島太郎×亀?」だったら  2007/05/03
「よぅ、ねぇちゃん。
 こんなところに一人でいると悪~いお兄さんに食べられちゃうぜ?」
「悪~いお兄さん。っいうか、カッコイイお兄さん。の間違いだろ?」
「ぎゃはは!!
 てめぇで言うか、普通!!」

下品に笑う男が三人。
三人とも、こんがり焼けた小麦色の肌で茶色い髪の毛は伸ばされている。
格好付けているようだが、はっきりいって格好悪い。
何より、この男たちに囲まれている女――否、実は歴とした男は、かなりの面食いで、彼の目に適う男はいなかった。
変なのに捕まってしまった。と、今の状況を冷静に分析していると、目の前にいた男の一人が視界から消えている。
あれ?と思いつつも、然して彼らに興味もなかったので、何もせずに消えてくれるなら楽じゃん。と楽観視していると、また一人、視界から消えていて。
最後の一人も視界から消えると、そこには別の男が一人、立っていた。

「君、大丈夫?」
「えっ?
 あ...」

男たちが視界から消えたのは、この目の前に立っている男が殴り倒したからだと、周囲を見回して気付いた。
どうやら助けられたらしい。と思い、助けてくれた相手を見てみれば。
ずっきゅーん。と、女に間違いられていた男の好みに見事にストライクした。

「えと、大丈夫?」
「え、あ、はい!!
 助けてくれてありがとうございました!!」
「どういたしまして。
 あー、間違えてたらごめんね。
 君、男の子だよね?」
「はい、そうですけど?
 あ...さっきの人達、なんか勘違いしてたみたいで...」
「だよねー。
 あー、けど間違えるのも無理無いかも。
 男にしておくのが勿体ないくらい美人だから。」

何の話をしているのか、会話が変な方向にすっ飛んでいる。
両方とも天然なのか、その方向のまま、ぽやぽや言葉のキャッチボールは続けられ、キリの良い所で自己紹介へと話は進んだ。

「俺、石田勇也って言います。」
「俺は黒沢明彦。
 明彦って呼んでよ。」
「じゃぁ俺も勇也って呼んで。
 明彦になら名前で呼ばれたい。」
「解った。
 勇也だね。」
「ん。
 所で、明彦。
 助けてくれたお礼がしたいんだ。
 この後時間大丈夫?」

若干目をキラキラ輝かせながら、石田勇也と名乗った女にしか見えない男は、言葉尻に疑問符を付けながら首を斜めに傾けた。
勇也の手は、明彦の手を両手でしっかりと握っている。
ぎゅっ、と力を少々加えて上目に明彦の目を覗き込んでみれば、明彦はふにゃりとした笑みを返した。

「お礼なんていいよ。
 でも、勇也ともうちょと話していたいかも。」
「ホントに?
 じゃあ、ちょっと着いて来て。」
「うん?」
「明彦を竜宮城に招待するよ。」

明彦に微笑んだ勇也は、手をしっかり握って海へとその身体を投げた。
手の繋がった明彦も否応なく海へと入る。
ちょっと驚きながらも手を引かれて海の中を泳いでいると、不思議と明彦は呼吸が出来た。
それに、海の中だというのに、目を開けていても痛くはない。
だから、明彦は終始笑顔でキレイな海の中を堪能したのだった。

「ここが俺の住んでいる竜宮城。
 助けてくれたお礼に、盛大なおもてなしをするよ。」

キレイな海底に、壮大なお城が現れ、煌びやかな着物を纏った勇也が可愛い笑みを浮かべた。





「ってゆー、良い所で目が覚めたんだ。」
「ふーん。」
「ねぇ、俺って亀だったのかな?
 それとも乙姫様だったのかな?」
「勇也さんが乙姫様だったら何百年経っても陸に帰してくれなさそうですよね。」
「あー。
 明彦なら絶対に帰さないよ?」

言葉尻に疑問符を付けて、可愛く小首を傾げる。
その表情は笑顔で、勇也の可愛らしさが全面に出ていた。

「それって、俺が言う台詞じゃない?」
「俺も男だから。
 言いたいじゃん。」

可愛さ全開でぎゅーっと抱き着く勇也の頭を優しく撫でて、明彦もぎゅーっと抱き返した。

「ねぇ、もっ回寝よ。
 夢の続き見たい。」
「見れるかなぁ?」
「見るの!!」
「んじゃ、寝よっか。
 見れたらまた教えてね。」
「ん。」

明け方近くに行われた会話は、昼過ぎに起き出した2人の会話に続くのか、否か。
それは、2人だけが知っている。







□-◇あとがき◇-□

初くろいし小説。
ホントはじかめで書きたかったの。
だけど、なんかAの彼が天然っぽくなっちゃったから、急遽くろいしに変更。
まぁ、女の人に見える。っていう所で可愛い勇くんが適役かな。とも思ったんですけどね。
そんなこんなで。
初書きくろいし。
微妙になんか違う気もしないこともないのですが、こんな感じで変なモノが増えていきます(苦笑)
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