■もしも「時計ウサギ×アリス?」だったら 2007/03/10
扉を開けた先に見えたのは、異世界だった。なんてこと。
誰が信じられようか。
否、誰も信じられないだろう。
各言う扉を開けた張本人――小田切竜も我が目を疑い、扉を閉めた。
パタン、と、ごく普通の小さな音を立て、閉められた扉は、次の瞬間、向こう側から物凄い勢いで開けられた。
扉の前に立っていた竜のおデコに大ダメージを与えるくらい、盛大に。
「~~~~~!!」
「え!?あ、ゴメン!!」
声にならない悲鳴を上げ、ぶつけられたおデコを押さえてうずくまる竜に降ってくる音。
向こう側から容赦なく扉を開け放った奴だと認識するや否や、竜は不機嫌オーラを全開にチンピラの如く相手の胸倉を引っ掴んで睨みを利かせた。
「まさか人がいるなんて思ってなか...っ!!」
一生懸命弁解をする相手は、変な恰好をしていた。
白い、ウサギのキグルミを着用し、バスケットボールくらいの大きさの銀色の時計をぶら下げて。
さながら、アリスに出てきそうな、そんな恰好。
そんなウサギの男は、睨み付ける竜と視線を合わせると紡いでいた言葉を不自然に途切らせた。
無言のまま睨み合う(竜からはウサギに睨まれていると感じるらしい。)両者。
最初に沈黙を破ったのは、ウサギだった。
「...可愛い...!!」
「.........は?」
「うっわ!!
めっちゃ可愛いし!!
ねぇ、名前は?なんてーの?
俺はね、隼人。矢吹隼人。
時計ウサギやってるんだ。」
「.........竜。」
あまりにマシンガントークを展開されるので、思わず名乗ってしまった竜。
そこからまた話し始める隼人に、もしかしてヤバイ奴だったのか?と若干不安を抱きながら、胸倉を掴んだままだった手をするりと落とした。
「ねぇ、竜。
竜がアリスやってよ。」
「...は?」
「だって俺ンとこ来るアリス候補の奴ら、みんなケバいンだもん。
あんなオバサン染みた奴らに追い掛けられても嬉しくねぇじゃん?」
「.........」
「その点竜だったら、可愛いし、綺麗だし。
何より俺が一目惚れした訳だし。
だから、お願い?」
続く話に、半分聞き流していた竜だったが、聞き捨てならない発言を聞いた気がした。
聞き間違いであってほしい。という竜の願いは無惨にも叶わず、隼人は一人喋り続ける。
仕舞いには、小首を傾げ少し潤んだ瞳を向けられた。
大型犬に成長する子犬。
そんな感覚を、自称と見た目がウサギな隼人に抱いた。
「......ぜってー、イヤ...」
「えぇ~。
あ、分かった!!
じゃあ逆に俺が竜を追っ掛ければいいんだ!!」
「......は?」
名案!!とばかりに、しょぼんとした表情を明るいソレへと変えた。
心なしか、フードに着いてるウサ耳も、元気にぴょこんと立っている気がする。
「うん。
というわけで、俺竜を追っ掛けることに決めたから!!
覚悟、してね?」
にこにことした表情を一変させ、肉食動物を思わせる雰囲気と気配を醸し出した隼人。
竜の運命はいかに!?
結果は...二人のみが知る。
□-◇あとがき◇-□
思いっきり変な思考回路から出てきちゃいました。
...多分、バイトの合間の休憩時間に認めたのが間違いなんだよ。
バイト中って、変なテンションなこと多いから...
そんなこんなでお送りされた「時計ウサギ×アリス?」でしたが。
いかがでしょう?
竜ちゃんが自分をアリスと認識していない(隼人に勝手に押し付けられた)ので『?』の付いた表記なのです。
こんな変な話でも、お読み頂ければ光栄です。